『天文学と印刷』展

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文京区の印刷博物館で開催中の『天文学と印刷』展。

他に類を見ない、とても素晴らしい展示です。
内容は天文にまつわる貴重書をひたすら並べて展示してあるというもので、貴重書だけに手を触れてみることができないため本の見開き2ページしか閲覧できません。古書好きにはたまらないとはいえ、世間一般の価値観からするとビジュアルも地味です。
しかし、キャプションも含め展示を順を追ってみていくと……かつての科学者たちの壮大なドラマが繰り広げられていたことが手に取るようにわかるのです。

今、インターネットやスマホが普及し、世界中の情報を即座に手に取ることができる私たち。

私たちには想像できるでしょうか。
知識を伝達する手段が「会話」か「手書きで書き写した書物」ほどしかなかった時代のことを。
その時代に何かを考え、見つけた人々が、それらを広めたい欲求に苦悶していたことを。
そこに「印刷」という技術が果たした役割を。
科学者たち自身が印刷に携わり、欲求を満たしてきた歴史を。

この展示はそんなドラマを見る人に与えてくれる、素晴らしいものでした。暗い展示室で書物を眺めていると、想像力はさらに掻き立てられます。
天文学と印刷、この組み合わせでこのテーマで展示できるのは「印刷博物館」ならではだと思います。科学館でも美術館でも難しいと思うのです。さらに言うと、占星術や錬金術の要素も当時の科学や印刷の観点を尊重した絶妙な形で加わっており、これは科学館などでは無理だろな思います。
天文が好きな方、古い書物が好きな方、自然科学の黎明期の息吹を感じたい方に是非ご覧いただきたい展示です。

その展示に合わせたミュージアムショップのアイテムに、ルーチカも出品しています。
天体観測ノートと四段浸透印、星狩りかばん、小星型十二面体紙工作、結晶形態図×波佐見焼(素焼)を販売中です。12月7日の講演会に限り、四段浸透印のケース入りセットの販売も予定しています。

ぜひこちらもよろしくお願いします。

ニコラウス・コペルニクス、ティコ・ブラーエ、ヨハネス・ケプラー、天文学の進展に大きな役割を果たした学者と印刷者の関係を紐解きます。

天動説から地動説(太陽中心説)への転換が起こるきっかけとなった『天球の回転について』。著者であるコペルニクスの名は知られている一方、本書の印刷者を知る人は少ないのかもしれません。15世紀のヨーロッパに登場した活版および図版印刷は、新たな世界像を再構築していく上で大きな役割を果たしました。学者と印刷者は共同で出版を行うのみならず、学者の中には自ら印刷工房を主宰した人物も存在します。本展では学問の発展に果たした印刷者の活躍を、天文学を中心に紹介します。

会 期 : 2018年10月20日(土)~2019年1月20日(日)
休館日 : 毎週月曜日(ただし12月24日、1月14日は開館)、12月25日(火)、12月29日(土)~1月3日(木)、1月15日(火)
開館時間 : 10:00~18:00(入場は17:30まで)
入場料 : 一般800円、学生500円、中高生300円、小学生以下無料
※20名以上の団体は各50円引き
※65歳以上の方は無料
※身体障害者手帳等お持ちの方とその付き添いの方は無料
※11月3日(土・祝)文化の日は入場無料

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